ルーティングプロトコルについて知っておきたい4つのこと

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ネットワークエンジニア
Tom

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こんにちは、Tomです。

今回は、

「ルーティングプロトコル」

について解説していきます。

今回は、ルーティングプロトコルの概要と、ルーティングプロトコルはどんなものがあるのかを簡単に紹介していきます。

さっそく一緒に学んでいきましょう!

1.はじめに

そもそも、ルーティングプロトコルの「ルーティング」とはなんでしょうか?

「ルーティング」については、以下の記事で概要を解説していますので、そちらをご覧ください。

ルーティングとは?選択の連続

2.ルーティングプロトコルとは?

まずはじめに、ルーティングプロトコルとは、

「ルータがルートを学習するためのプロトコル」

です。

そもそも、ルータというのは、「ネットワーク上でパケットの転送を行うのが仕事」です。
その時に、「パケットをどのルータに転送すれば良いか」というのをルーティングテーブルを見て判断しています。

そして、ルーティングテーブルは、ルータが学習したルートの一覧です。
ルータはこれからご紹介するルーティングプロトコルによって、自動的にルートを学習し、ルーティングテーブルに登録します。

もし、ルーティングプロトコルがなかったら、

  • 直接接続されているルート
  • 人間が直接設定したルート

の2つのルートのみでルーティングしなければいけません。

もし、そんな状況なら、世界中のネットワークが接続されているインターネットは存在しなかったでしょう。

インターネットでは、ルータがルーティングプロトコルによって“自動的”にルートを学習します。
そうすることで、世界中のさまざまなネットワーク同士でデータのやり取りが行えるのです。

3.ルーティングプロトコルの分類

3-1.IGPとEGP

ルーティングプロトコルは、「IGP」と「EGP」の2種類に分けることができます。

その2つの違いは、「AS(自律システム)」の内部で動作するか、外部で動作するかです。

IGP(Interior Gateway Protocol)は、AS内でルート情報の交換をするためのルーティングプロトコルの総称です。
IGPにはいくつか種類があり、ネットワークを構築するときの方針によってどのIGPにするかを選びます。

また、英語で「Interior」とは、「内部の」という意味です。
なので、IGPはASの「内部」で動作するルーティングプロトコルなのです。

 

一方、EGPExterior Gateway Protocol)は、異なるASの間でルート情報の交換をするためのルーティングプロトコルの総称です。

EGPのルーティングプロトコルは2種類ありますが、現在使われているのはBGP(Border Gateway Protocol)です。

また、英語で「Exterior」とは、「外部の」という意味です。
なので、ASの「外部」で動作するルーティングプロトコルなのです。

3-2.ASとは?

「そもそもASがなんなのか知らないし!」

そうですよね、すみません。

AS(Autonomous System)とは、日本語で「自律システム」と呼ばれるものです。

下にインターネットを簡単に模した図があります。

インターネットというのは、図のように「AS」が無数に接続されたネットワークです。

上で説明したように、ASの内部のルータはIGPによってルートを学習します。
一方、AS間のルータ同士はEGPによってルートを学習します。

 

そして、ASとはISP(Internet Service Provider)やキャリア(通信事業者)、企業などの個々のネットワークのことです。

例えば、あなたが契約しているスマートフォンのキャリア(通信事業者)をイメージしてみてください。
スマートフォンのキャリアには、D社、A社、S社などがあります。

例えば、S社では、

  • S社のネットワークをどうやって構築するか
  • IGPには何を用いるか
  • 契約者の端末のIPアドレスをどのように割り当てるか

など、ネットワークをどのような方針で管理するかを決めています。

その方針、管理の方法は、それぞれのキャリアで独自のものです。
このような方針や管理の方法が異なるネットワーク一つ一つを「AS:自律システム」と呼ぶのです。

また、ネットワークを構築するときの方針のことを「運用ポリシー」と言います。
なので、「ASは同じ運用ポリシーのもと構築されたネットワークである」と書いてある本もあります。

4.IGPの種類

IGPにはさまざまなルーティングプロトコルがあります。

そしてそれらは、「どういう基準で最適ルートだと判断するか」の違いによって、3種類に分けられます。

その「どういう基準で最適ルートだと判断するか」というのを、「ルーティングアルゴリズム」と言います。
要するに、IGPには、3種類のルーティングアルゴリズムがあるのです。

そのルーティングアルゴリズムは以下の3つです。

  • ディスタンスベクタ型
  • リンクスタート型
  • ハイブリッド型

一つずつ見ていきましょう。

4-1.ディスタンスベクタ型

まず一つ目は、ディスタンスベクタ型です。

ディスタンスベクタ型では、「ルータまでの距離と方向」によって最適ルートを判断します。
距離(Distance)と方向(Vector)で判断するから「ディスタンスベクタ型」なのです。

ここでいう「距離」とは、宛先ネットワークに到達するまでに「何個のルータを経由するか」ということを表します。
つまり「距離=ルータの個数」です。

例えば、下の図のようなネットワークがあった場合、

一番左のルータAから見て、一番右の宛先ネットワークへはルータを2つ経由しなければいけません。
この時、「距離=2」となります。

 

また、「方向」とは、宛先ネットワークにパケットを送信するために、「次に経由するルータ」のことを指します。
この「次に経由するルータ」のことを「ネクストポップ」と呼びますので、「方向」とは、「ネクストポップ」のことになります。

先ほどの図で言えば、ルータAの次に経由するルータは「ルータB」です。
なので、「ネクストホップ=ルータB」となります。

このように、ディスタンスベクタ型のルーティングプロトコルは、「距離:ルータの個数」、「方向:ネクストポップ」の情報をお互いに交換して最適ルートを判断しているのです。

 

ディスタンスベクタ型のルーティングプロトコルには、「RIP」と「IGRP」があります。

RIP

RIPRouting Information Protocol)には、RIPv1(RIP version1)とRIPv2(RIP version2)がありますが、現在使われているのはRIPv2です。

RIPは、ディスタンスベクタ型なので、宛先ネットワークまでのルータの個数が少ないルートを最適ルートだと判断します。

RIPに関しては別記事で詳しく解説していきたいと思います。

IGRP

IGRPInterior Gateway Routing Protocol)とは、Cisco 社独自のルーティングプロトコルです。

IGEPは改善されて、EIGRPというルーティングプロトコルへ拡張されたため、現在は使われていません。

なので覚える必要はありません。

4-2.リンクステート型

二つ目は、リンクステート型です。

リンクステート型では、「ルータのインターフェイスに接続されているリンクの状態」によって最適ルートを判断しています。
リンク(Link)の状態(State)で判断しているからリンクステート型なのです。

リンクステート型で最適ルートを判断するときには、ルータ間のリンク状態を基準にします。
リンク状態の情報をルータ同士で交換して、最適ルートを割り出しているのです。

リンクステート型のルーティングプロトコルは、「OSPF」と「IS-IS」があります。

IS-IS

IS-ISIntermediate System to Intermediate System)とは、国際標準化機構(ISO)が定めたルーティングプロトコルです。

IS-ISはISOが開発したため、TCP/IPでは動作しません。
そのため、現在主流のIP上でルーティングすることはできません。

IPに対応した「Integrated IS-IS」というものも登場しましたが、IS-ISと合わせて日本ではほとんど使用されていません。

OSPF

OSPFOpen Shortest Path First)はIS-ISを参考に、RIPに代わるものとして開発されました。

日本で主に使用されているリンクステート型のルーティングプロトコルは「OSPF」です。

OSPFに関しても別記事で詳しく解説していきたいと思います。

4-3.ハイブリッド型

三つ目は、ハイブリッド型です。

ハイブリッド型は、ディスタンスベクタ型とリンクステート型を組み合わせたルーティングプロトコルになります。
それぞれの利点を組み合わせたルーティングプロトコルになっています。

そして、ハイブリッド型のルーティングプロトコルは「EIGRP」です。

EIGRP

EIGRPEnhanced Interior Gateway Routing Protocol)はCisco社独自のルーティングプロトコルです。
先ほど説明したIGRPを改善(Enhanced)して作られたため、EIGRPなのです。

EIGRPは基本的にはディスタンスベクタ型のルーティングプロトコルなのですが、そこにリンクステート型の機能を取り入れています。

5.EGPの種類

5-1.EGP

EGPExterior Gateway Protocol)は、AS間のルーティングプロトコルとしてのEGPです。
IGPと比較される「EGP」は総称のことで、ここでいう「EGP」は単体のルーティングプロトコルの名前です。

両者を区別するために、総称のことを「EGPs」と呼ぶこともあります。
非常にややこしいですよね。私も説明しながら混乱してきます。

しかし、安心してください。

単体のルーティングプロトコルとしての「EGP」は現在は使われていないので覚える必要はありません。
大事なのは次に説明する「BGP」です。

5-2.BGP

BGPBorder Gateway Protocol)もAS間でルート情報を交換するためのルーティングプロトコルです。

現在のインターネットでは、「BGP」が使われています。
世界中のISPは「BGP」を使って、それぞれのネットワークのルート情報を互いに交換しています。

6.まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回はルーティングプロトコルについて簡単にご紹介しました。
個々のルーティングプロトコルの詳しい動作に関しては別の記事にまとめたいと思います。

それでは、今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。